暑いですね。
夏が終わるの嫌だなと思ってましたが、さすがにそろそろ熱帯夜から脱出したいです。
さてコロナ禍の規制が緩和され、休止してたイベントが再開されるようになり、ついにこの夏個人的に大好きな落語会が4年ぶりに行われました。
谷中にあるお寺全生庵での圓朝寄席です。
当コラムでも何度も名前が出ております落語の神様三遊亭圓朝師匠の菩提寺で、ご命日(8月11日)近くに谷中の町会が中心になって毎年行われるこの落語会には前座の頃からの思い出が詰まってます。

かつては五代目円楽一門のトップ3鳳楽、好楽、圓橘各師匠方が出演したこの会。
普段お一人お一人とはお会いする機会はあってもまとまって、ということはほぼ無く、一人でもめちゃくちゃ気をつかうのに3人一緒だと緊張感数倍増しでした。
ただ会の雰囲気がとても好きで。
なにしろ3人は50年来の付き合いで、全生庵でも前座の頃から一緒に仕事をしています。
これは師匠好楽からよく聞かされる思い出話なのですが、昔圓朝顕彰会という団体主催の落語会があり、大酒飲みの3人が打ち上げで朝までビールを飲み、そのまま谷中から先代林家正蔵師匠のお宅のある稲荷町まで歩いて行くとちょうど酔いが抜けるんだとか。
よい大人の皆さんは真似しないで下さいね。
そんな師匠の青春の1ページで彩られた圓朝寄席。

会当日の楽屋の師匠方も昔話に花が咲いて盛り上がっていました。
また師匠のおかみさんも古い付き合いですから楽屋に顔を出し、圓橘師匠と口喧嘩を始めます。
その様子をガハハと笑う師匠好楽と鳳楽師匠。
出番が終わるとビールを飲んでさらに調子がよくなります。
うちの師匠は落語やってる時よりも饒舌です。
若手の頃からずっとこうだったんだなと、微笑ましく思いました。
高座は町内の方々のお手製ですが、音響もミキサーがあってかなり本格的です。
客席の方もお寺の本堂にびっしりでよく笑う陽気なお客様。
人の数に対して冷房のパワーが追い付いてないため、お世辞にも鑑賞環境が抜群に良いとは言えませんが、かえって老若男女が体育座りで集まっている様はお祭り感を増幅させます。
また夕方からスタートするので、風を入れるために開け放たれた窓からひぐらしの鳴く音がうっすらと聞こえ、夏の終わりの切なさも漂います。

終われば谷中の顔でもある寿司屋の乃池で打ち上げです。
下っぱはお酌をして回り、余ったお寿司を頂きます。
だいたいかっぱ巻きですが。
あとお通しの煮こごり。
我々の青春の味です。

そんな圓朝寄席が4年ぶりの開催。
今年の高座は本堂では無く、コロナ対策でお客様の人数を絞ったためいつも楽屋として使っていた座禅堂に(それでも充分広いのですが)。
ただ鳳楽師匠はもうお出にはならず、師匠のおかみさんも3年前に他界されてますので、楽屋の雰囲気もずいぶん変わりました。
トリもベテラン師匠方ではなく師匠のご子息の王楽師匠が引き継ぐことに。
私も圓朝師匠の弟子の名前を継いでいますから今後も出ることになると思います。
落語のネタを覚えることも大事ですが、先人が作ってきた落語を話す場を守ることも大切な仕事です。
時代の変化もありますが、ただただお客様にまた来たいと思って頂けるよう一つ一つの高座を大切に精進しなければと改めて心に刻んだ夏でした。
ちなみに8月いっぱいは全生庵で圓朝師匠所有の幽霊画展を開催しておりますので興味のある方はぜひどうぞ！

圓朝と初代ぽん太の墓

お知らせ

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.39～真景累ヶ淵連続口演編最終回～
日時・8月26日(土)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.40 演目:大工調べ、他二席
日時・9月23日(土・祝)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円

三遊亭好楽喜寿記念落語会
日時・9/13(水)〜15(金)18時開演
出演・三遊亭好楽、ぽん太
ゲスト
13日(水)笑福亭松喬、桂宮治、内海英華
14日(木)桂竹丸、春風亭一之輔、高田文夫(完売！)
15日(金)林家木久扇、三遊亭王楽、三遊亭好の助、笑福亭呂翔(残席僅少)
会場・池之端しのぶ亭
料金・5000円

すべての予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com