コラム
第8回「多摩川」~東京都民の水源
東京都には計109の河川があり、総延長は860.34キロメートル。その一つが多摩川です。
多摩川の水源は山梨県塩山市の笠取山から西流して、上流部を丹波川といい、小菅川と合流して東京都に入り奥多摩湖に流入して多摩川となります。
上流は奥多摩湖の湖水の出口、小河内ダムから東京都青梅市の山中を流れ、中流になると多摩丘陵と武蔵野台地の間を深みのある淵と、流れの早い浅瀬を繰り返しながら下っていきます。武蔵野台地の河岸段丘は多摩川によるものです。
東京都調布市、神奈川県川崎市多摩区からは両岸とも低地の都県境を流れ、川が運んだ礫層のため水はけが良く、梨が特産品となり多摩川梨として知られています。
下流は東京都大田区と神奈川県川崎市の境を流れ、左岸に東京国際空港が位置する東京湾へと注ぎます。
その流域面積は1240キロ平方メートル、全国で50位。東京都、山梨県、神奈川県にまたがる一級河川です。玉川上水をはじめ、小河内ダムからの放流を羽村で取水して、東京都西部まで運ぶ水道用水は東京都の住民にとっては重要な水源であり、江戸時代より江戸、東京を支えてきました。
多摩川の名称の由来はいろいろありますが、私が一番好きなのは多摩川が霊力を持つ川、神聖なる川と言われる「霊の川」説です。
「タマ」は「霊魂」を指し武蔵国の大國魂神社の近くを流れ、禊のための聖水を提供していたといわれています。この地に昔から住んでいた人々が國魂神を信仰し、神聖な川として「霊の川」と呼ぶようになったというものです。
流域には「多摩川八景」の自然
『万葉集』の東歌にも「多麻河」と登場する多摩川は上流から河口までの間に、奥多摩湖、御岳渓谷、秋川渓谷、玉川上水、多摩大橋付近の河原、二子多摩川兵庫島、多摩川台公園、多摩川の河口という「多摩川八景」が選定されています。源流から河口まで各所に安らぎを感じられる風景や独自の自然があり、驚くほど奥深い姿を見せてくれます。
これからの季節年代問わず自然観察や川遊び、散歩など恰好の場所となっています。
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