コラム
三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
連載23「夏と」
めちゃくちゃ暑いですね。
原稿書いてる現在の東京は35℃。
昨日の最高気温は38℃。
東京の夏、こんなに暑いものでしたっけ?
子どもの頃はここまでじゃなかった気もします。
まぁ春夏秋冬を短パンで過ごしてた小学生には四季はあまり関係なかったかもしれませんが。
あの頃は常にそこらかしこを走ってましたし、チューペットがあれば夏でもご機嫌でした。
それに意味わかんないですよね、月のおこづかいが500円とか。
今なら一日でももちません。
公園の水も全然飲まなくなりましたし、何しろ虫を触れなくなりました。
マンションのベランダに蝉がいると怖くて仕方ないです。
あんなに捕獲してたのに。
子どもは遊ぶのが仕事とは言いますがよくあれだけ駆け回れたものだと今さら感心します。
ひるがえって、現在。
冷房のきいた会場で夏物の薄手の着物を着て座って喋るだけなのに、「暑い」「ダルい」「会場まで来ただけで偉い」「エアコンで喉痛い」「早く降りてビール飲みたい」など好き勝手言ってます。
本来であれば9月には夏物の着物は着ちゃいけないのですが、暑いですしなんとなく「お彼岸まではいいよね…」と勝手にいいように解釈して延長してます。
何しろ夏物のは軽いので移動が楽です。
舞台俳優と比べたらなんと気楽な事か。
先日、お世話になってるお客さんの弟さんが座長の劇団椿組の花園神社での公演を初めて観てきました。
老舗のアングラ劇団によるテント芝居です。
私も元々演劇をやってましたが、アングラ芝居はちょっとジャンルが違い、学生の頃に一度唐十郎を観て以来でした。
これが面白いのなんの。
内容は丹下左膳をベースに山椒太夫や仮名手本忠臣蔵などのエッセンスを入れ込んで独自の世界として描いたもの。
着物を着ての殺陣ありダンスあり歌ありなのですが、境内にテントを建て地べたの上でパフォーマンスが繰り広げられるので土まみれ。
もちろんクーラーなんてありませんから大量の汗をかくので土のひっつく量も余計に増量です。
その文字通りの泥臭さ、熱量でラストシーンでは涙してました。
ちょっと反省です。
役者さん、真夏に厚手の着物で演技してるんですもの。
すごすぎます。
これからは変にかっこつけず汗をかくことを厭わず、一生懸命お喋りしなければ。
ただ私の師匠の師匠である五代目の圓楽師匠は冬でも絽(ろ・夏物の透けるような素材)の着物でやってたそうなので、オールシーズン夏物は無理でもせめて単(ひとえ・春秋くらいに着る裏地の無い着物)は許してもらいたいところです。
喉カラカラになって声が出なくなっては元も子もないですし。
というか昔は江戸っ子の職人連中なんてみんな尻っぱしょりしてふんどし丸出しで暮らしてたんですからね。
涼しそうで羨ましい!
今その名残が見られるのはお祭りの時ぐらいでしょうが、現代社会の日常生活で尻っぱしょりしてたら100%捕まります。
それに比べれば暦とちょっとずれたとしても暑い日に薄手の着物を着るくらいかわいいものでしょう。
着物の着方にうるさい着物警察の皆さんもどうか落語家のことは無視でお願いします。
とんで火にいる夏の無視ということで。
強引!
ではまた来月もよろしくお願い致します。
兄弟子のとむが真打となり錦笑亭満堂を襲名し全国ツアーのスタートとなる伊勢公演での一枚
お知らせ
三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.39~真景累ヶ淵連続口演編第三回~
日時・8月26日(土)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com
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- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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