老友新聞2023年2月号に掲載された俳句入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天

百歳の赤きネクタイ冬うらら

近藤　貞子

百歳にして赤いネクタイをしている人は体力、気力ともに若々しさを保っているでしょう。その上おしゃれ心も衰えていません。作者は敬愛の念をこめてこの様子を微笑ましく眺めているようです。

地

歩け歩けトトロの森の落葉踏む

荻野　徳俊

「トトロの森」は埼玉県所沢市にある自然保護公園ですが、作品の森は当然アニメの「となりのトトロ」の物語を想起させます。落葉堆い道、どこまでも歩きたくなりそうで楽しい作品です。

人

山茶花や郵便箱に午後の便

王田　佗介

「午後の便」には午前の配達ではないことを強く意識している様子がうかがえます。静かな午後の郵便受けに入っていたのは、心待ちにしていた、ただ一通の感じがします。その一通への想像がふくらむ作品です。