１月は特選が３作品と無審査２作品を掲載いたします（編集部）

特選

飯塚　英子（翆瑶）

読み＝林中に薪を売らず（林の中では薪が有り余っている為に売ろうにも買い手がつかない）
丁寧な書きぶりで五文字を行草体でご出品下さいました。
二行目の二文字は草書としましたが、「売」字の三画目までが行書風で少し堅さを感じますが、それが却って一行目との釣り合いを保っているようにも感じられます。運筆が素直で沈着に纏め、飾らない筆致に趣を感じることを評して特選とします。

外丸　暁子（暁峰）

読み＝雲と我と無心なり（空に浮かぶ雲とそれを見上げる自分は共に無心の境地である）
北魏時代の書風のように知性的に五文字を纏めご出品下さいました。
「無」字の列火（四点）は二点目からの線をもう少し繋げてお書きになるべきでした。しかし、清雅な全体の雰囲気に趣があり、安定した形意と堅実なる送筆を評して特選とします。

中里　薫（紫泉）

読み＝云く、子敬が逸少に及ばざることは…
草書を学ぶに王義之の十七帖と共に草書古典の双璧である孫過庭の書譜を臨書して下さいました。
「之」字の終筆の鋒先を抜く技法が出来ておりませんが、字形はほぼよろしく動きに無理が無く流麗で暢びのある線条を評して特選とします。
今後、入筆する筆の角度・線の太さの違いなどを原帖をよく観察されますとより好臨となることでしょう。

無審査

齋藤　北城

自運の行書作二点ご出品下さいました。
「荒庭…」と書してくださいました作は「荒・露」の字を大きく書きすぎたように思いますがそれを感じさせぬ熟達した布置と気脈の繋がりがあり、雅味ある書線で五文字を巧みに纏めております。
「竹影…」と書かれました作は前回よりも安定した筆致で布置も定まり筆力十分に生気溢れ、ご高齢ですがお元気であることが線条に表れています。厳しい冬の寒さどうぞご自愛なさりご健筆下さい。

森重　八舟

孔子廟堂碑の臨書作は「皇」字の三画目の線を太く引きすぎた感がありますが、六文字ほぼ字形はよく捉えております。
風信帖の臨書作は墨線は紙面にしっかり食い込み、雄強で重厚にして形意よろしく原帖の意を得て素晴しい作です。