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2023年01月16日

呼びかけても返事がない。耳が遠いだけ?それとも…

76歳の夫が、呼びかけへの反応が鈍い

74歳の女性です。76歳になる主人の症状について教えてください。
ここ数カ月くらいのことですが、主人になにか話しかけたり、呼びかけたりしても、返事がなかったり、返事が遅れたりすることがあります。
耳が遠くなったのかと思いましたが、耳鼻科で検査をしたところ、年相応であまり問題ないとの結果でした。また、テレビが好きでよく観ているので、音が聞こえないわけではないようです。
私が話し掛けても、ぼーっとしていて返事がないので、何度も呼ぶと「聞いてるよ!」と怒ったように返事をすることもあります。
主人は仕事を辞めてしばらくたちます。もしかすると認知症なのでしょうか。

答え

認知症も考慮して脳神経内科で総合的診断を

今回は、ご主人が呼びかけに対して返事が遅れたり、怒りっぽくなっているという方からのご相談です。

年をとりますと、確かに聴力が大なり小なり低下してくるもので、65歳以上の方では2割~4割程度の方に軽度難聴も含めて症状が現れると言われています。会話の際に、聞きとれないことで返事が遅れてしまったり、うまく伝わらなかったり、コミュニケーションの取り難さが出てまいりますので、高齢者の場合、聴力の低下は常に注意をしておかなければならないものです。

その一方で、今回のご相談の場合、問いかけに対して怒ったような返事があるとの事ですので、ご心配をされているように認知機能の低下、つまり認知症を考慮に入れないといけません。

認知症は、よく耳にするアルツハイマー型だけでなく、脳血管性認知症や、それ以外にもレビー小体型認知症やピック病と呼ばれるものまで様々な種類のものが存在します。

短期記憶の低下という典型的な症状があらわれることが大部分なのですが、非典型的な症状を示す方も1割程度いらっしゃると言われています。意欲の低下やうつ状態などの症状、また人によっては感情の起伏が大きくなり、怒りっぽくなるなどの症状が出る場合もあります。
認知症の種類によっては人格まで変化してきたり、行動の異常が出たりすることもありますので注意が必要です。

ご高齢の方で、今までと少し異なる行動が見受けられるようであれば、やはり認知症も視野に入れた検査や評価が必要になってくると思います。
検査をする場合には、認知機能を問診などで評価する心理学的検査に加え、CT検査やMRI検査で脳の萎縮状況を確認するなどをし、総合的な診断が必要になるので、脳神経内科など専門医による診断が必要です。

認知症については現在、根本的な治療法はありませんが、進行を遅くする可能性のあるような薬を早めに利用したり、ご家族など周囲の方が現状をしっかりと認識して今後の介護や生活環境を整える必要があります。
そのためにも早期診断をしていただくことが望ましいでしょう。

 

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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