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医療と健康

2022年11月18日

コーヒー、緑茶、飲みすぎていませんか?

新型コロナの影響で、外出・外食が制限されて在宅期間が長くなったことで、自宅でコーヒーを飲む機会が増えた人が多いのではないでしょうか?朝の活動のスイッチとなり、リラックス効果をもたらすコーヒーに関しては、ここ10数年の間に様々な研究が進み、健康効果・疾病予防効果についての論文や著書が次々と発表されています。

コーヒーに含まれる代表的な成分はポリフェノールとカフェインです。ポリフェノールは、動脈硬化・心筋梗塞などの生活習慣病の予防に効果があると言われています。一方のカフェインは、すでに広く知られているとおり、眠気を覚まして頭をスッキリさせる効果や、リラックス効果があります。コーヒータイムに一息つくと疲れがとれたように感じるのも、カフェインによる作用のひとつです。
このカフェインに関してですが、良いことばかりではありません。カフェインを摂りすぎると、めまい、震え、下痢や吐き気が起こることがあります。症状が重い場合は、意識消失や心肺停止も起こりえます。

日本ではカフェインの摂取量は規制されていませんが、欧州やカナダでは健康な成人は、1日のカフェイン摂取量は最大400 mgとされています。体質や体調によっては200 mgでも悪影響が出ることもあります。ちなみに一般的にはコーヒーには100 mlにつき約60 mgのカフェインが含まるので、おおよそですが1日3杯くらいまでに収めておくのがお勧めです。

今、「自分は若い頃から毎日〇杯飲んできたから大丈夫!」と思ったそこのあなた!
図1に示しますように、日本コーヒー協会の調べによる年齢別のコーヒー摂取量をみると、40~50代と60代以上で摂取量は減少していないのがわかります1)。一方で、高齢者になると消化器官を始めとした生理機能が年齢とともに低下していきます。そうするとカフェインが体内から出にくくなり長い間留まるようになってしまうため、若い頃に影響がなかった量でも、体に悪影響が招じる可能性があります。

温熱が与える自律神経への影響図1 年齢別 1人1週間当たりのコーヒーの杯数

実は、カフェインにはトイレが近くなる効果があることも知られています(利尿効果)。
日常的に飲んでいるコーヒーの量は変わってないのに、トイレが近くなるなど体に異変が感じられたら、年齢とともにカフェインの影響が体に強く出るようになったことが原因かもしれません。

これから冬を迎え寒くなると、温かい飲み物が欲しくなりますよね。コーヒーを減らした場合、その代わりに緑茶(煎茶)を選ぶ方が多いのではないでしょうか?気を付けないといけないことに、カフェインはお茶にも含まれています2)。(図2)
1日に必要な水分摂取量は2,500 mLで、飲み物から摂取する量は1,000~1,500 mLと言われています。そのすべてをコーヒーや緑茶で取ってしまうと、カフェインを過剰摂取してしまいますので注意が必要です。

温熱が与える自律神経への影響図2 100 mL中のお茶に含まれるカフェイン量 (mg)

ちなみに、カフェインを含まない代替飲料としては、麦茶やハーブティー、ルイボスティーなどがあります。また、カフェインを少なくしたカフェインレスコーヒーや、カフェインを除いたノンカフェインコーヒーもありますので、上手に水分補給、上手にリラックスをして、冬を越しましょう。

【引用】
1)日本のコーヒーの飲用状況、全日本コーヒー協会、URL: https://ajca.or.jp/pdf/data04_2021-06b.pdf
2) お茶について、福寿園、URL: https://shop.fukujuen.com/n/2491/

瀧沢 裕輔(たきざわ ゆうすけ)博士
  • 瀧沢 裕輔(たきざわ ゆうすけ)博士
  • 所属:日本薬科大学 臨床薬剤学分野
  • 専門:生物薬剤学
  • 研究内容:“薬物の消化管吸収”が研究専門領域で、現在は薬物の消化管吸収に影響を及ぼす生体外因子・生体内因子の解析と、これらの因子の応用による吸収促進技術の開発を目指して研究を行っています。
  • 出身:群馬県高崎市
  • 趣味:スポーツ観戦(今、NBAが熱いです!!!)
  • 日本薬科大学 公式サイト
    https://www.nichiyaku.ac.jp/

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