コラム
三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
連載11「真打昇進」
あっという間に夏ですね。
年々暑さに弱くなってるぽん太です。
さて先月六月一日、わが好楽一門にめでたく新真打が誕生致しました。
四番弟子の好吉兄さんが好一郎師匠になりました。
四番弟子なのに一郎というのが、なんというか、その、うちの師匠らしいですね(笑)
なので現在の好楽一門は、好太郎(一番弟子)、好一郎(四番弟子)、好二郎(孫弟子)、好志朗(九番弟子)というかなりややこしい状況となっております。
それはさておき好一郎師匠の真打昇進披露興行が賑々しく行われ、私はその番頭を務めました。
真打になると寄席でトリ(一番最後に出る人)をとることが出来ます。
新真打は披露興行中、毎日トリをとるので大変です。
協会ごとに違いますが、わが五代目円楽一門会だとお江戸両国亭で開催している両国寄席で十日間トリを務めます。
その間出演して下さる師匠方に楽屋で心地よく過ごして頂くためにお弁当やお酒をお出ししたりします。
コロナ禍ですのでささやかなものではありますが。
その手配などや取りまとめをするのが番頭の仕事です。
私も初めてのことですのでとても緊張しました。
まずは五月末に行われたパーティーの準備から仕事はスタートです。
ご招待する方の宛名書き、席次表や名簿の作成、そして当日のお出迎えや手伝ってくれる二ツ目の仲間、前座さんへの仕事の割り振りなど多岐に渡ります。
感染症対策もあるので今までに下っぱとしてお手伝いしてきたパーティーとは勝手も違うこともあり、本番中は正直かなりいっぱいいっぱいな状態にはなりましたが、先輩、後輩、師匠のご家族など皆さんのご協力もあり、なんとか無事終えることが出来ました。
そこから怒濤の十日間の始まりです。
まず初日は開場前に若手が集まり、後ろ幕や幟の準備や届いたスタンド花のセッティング。
開演したら前座さんが手が回らない部分のフォロー。
特に大勢の師匠方が並ぶ披露口上の後はいっぺんに着物を畳まなければならないので大変です。
またお弁当も師匠方の好みがあるので苦手な物をリサーチしてその日にあった商品を発注します。
お酒も日本酒、焼酎、ハイボール、またビールの銘柄も好みにあった物を選んで買っておかなければなりません。
トリの新真打の高座で寄席が終われば打ち上げです。
これも感染症対策があるので少人数で色々と気を遣いながら。
翌日以降も毎日これの繰り返しです。
普段であればなにか私がしくじってもただ自分が怒られるだけなのでいいのですが、披露目の番頭は失敗すると新真打の顔に泥を塗ることになるので、立て前座(前座のリーダーみたいな役職)で披露興行に関わっていた頃とは別種の緊張とプレッシャーがあります。
好一郎師匠もこの十日間で2キロ痩せたとのことでした。
それくらいにプレッシャーや気疲れを感じる興行なのですね。
一方、私はというと2キロ太ってました(笑)
なんか質量保存の法則みたいになってますね。
ただここでは書けない大変なこともたくさんありましたが終わってみればとても楽しかったです。
晴れの場、ハッピーな空間を作るお手伝いをするのはこちらもハッピーになりますし、何より新真打にとっては一生に一度のことですから途中からはもう好一郎師匠というお神輿を担ぐお祭りだと思うようにもなりました。
また遠い先に思ってた自分が真打昇進する時の事もイメージしやすくなり、とても得難い経験でした。
あと毎日自分の好きなお店のお弁当を食べられて嬉しかったです。
太った原因は明らかにこれですね(笑)
というわけで両国での披露興行は終了しましたが、これからまた全国各地を回りますのでご都合が合いましたらご来場下さい!
普段の寄席とはちょっと違う多幸感のある雰囲気ですので、幸せのお裾分けにぜひ!
お知らせ
三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.31
日時・7月24日(日)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com
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- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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