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医療と健康

2020年10月19日

免疫を担うリンパ節は風邪などで炎症・腫れることも。

首のつけ根に玉状のしこりが…

 

60歳の女性です。数ヶ月前に、首の付け根、喉の少し横のあたりに小さなしこりができているのに気がつきました。

指で押すように探ってみると、こりこりとした丸い玉状のしこりで、触っているとだんだん痛みも出てきました。それ以外は、とくに自覚症状はなく、変わったことはありません。

場所が首なので、リンパ節のがんなのではないか、あるいは胸の近くでもあるので、乳がんの可能性もあるのか、心配です。原因は何でしょうか。また詳しい検査を受ける場合は、何科を受診したら良いでしょうか。

答え

リンパ節の腫れの可能性。風邪などの時は痛むことも

 

今回は首の付け根にしこりができたとご心配の方からのご質問です。

ご本人がおっしゃるとおり、首の付け根というのはリンパ節が多くある場所で、リンパ節が腫れて「しこり」として触れるケースというのはよくあることです。

リンパ節は免疫器官のひとつで、身体の中に細菌などの異物が入り込んだ場合に反応して、全身に循環してしまう前に防御をする関所のような役割を担っています。リンパ節は、通常数ミリから2~3センチくらいの大きさで、大きいものになると指で触れるものもあります。身体の中に異物が入り込むと、リンパ節にたくさん詰まったリンパ球が反応し、異物を排除しようとします、するとそこに炎症が発生して腫れるのです。

首のリンパ節が腫れている場合、どのような状況が考えられるかと申しますと、たとえば虫歯ができていたり、口内炎ができたりすると、そこから細菌が入り込み、ちょうど顎の下のあたりのリンパ腺が腫れて、痛みを感じたりもします。ですので、虫歯や歯槽膿漏、口内炎などができていないか、あるいは風邪を引いた場合でも喉のリンパ腺が腫れますので、そういったことに心当たりがないか、チェックをしてみてください。

一方で、あなたが心配されている通り、がんでも同じようなことが起きます。がん細胞が入ってくると、それを悪いものと認識し、その部分を担当するリンパ節が進入を阻み、排除しようとするわけです。しかし守りきれずに、リンパ節にがんが転移、増殖してしまうと、どんどん大きく腫れてしまうのです。また、転移だけではなく、リンパ腺そのものから発生する悪性リンパ腫というがんでも、リンパ腺が腫れることがあります。

口内炎や風邪など、ただの炎症の場合には、どちらかというと柔らかく腫れて、痛みを伴います。がんの場合は、比較的痛みは少なめで、硬く、より大きく腫れるという特徴があります。

このように、リンパ節が腫れた場合、色々な可能性が考えられますので、多角的な検証しなければなりません。

リンパ節の腫れだけが認められ、原因がはっきりしない段階であれば、耳鼻咽喉科、特に大きな病院には耳鼻咽喉科の中に頭頚科という専門の外来がありますので、一度外受診をしてみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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