医療と健康
続けてほしい血圧測定の習慣。正しい計り方は?
血圧測定値が日により変動します
70歳の男性です。先日、古希の祝いに、孫から血圧計をプレゼントしてもらいました。大きな腕時計のような形をしているもので、早速使って記録をしています。
毎日計って気付いたのですが、血圧が日によってバラバラなのです。高めの日ですと160/90くらいで、低い日ですと135/80くらいです。これでは自分は高血圧なのかどうか、判断がつきにくいです。
血圧の正しい測り方というものがあるのでしょうか。また、数値を低めに保つコツがあれば教えてください。
2、3回計り平均値をとる。高めなら生活習慣改善を
今回は血圧測定値のばらつきについてのご質問です。
血圧というものは、確かに変動が激しいものですので、一回の測定だけでは、その人が高血圧かどうかを判定するのは難しいものです。緊張していたり、もしくはストレスがあったりすると、すぐに血圧は上がってしまい、日常生活の中でも20~30くらいの変動は当たり前のように起きているものです。
たとえば白衣高血圧と言いまして、病院で医師が血圧を計りますと高い数値が出てしまう人がいます。家で計った場合には問題ないのに、病院で白衣を着た先生に計ってもらうと、緊張して血圧が上昇してしまうということからそう呼ぶようになったものです。
また、血圧は一日のうちでも変動もしていますので、日中様々な時間で測定し、どのような変化があるのかも調べてみることも必要です。たとえば、夜間眠っている間は、血圧は下がるものなのですが、人によっては下がらない人がいます。さらに、明け方に急上昇してしまう人もいて、そういう人は脳梗塞や心血管性の病気を発症するケースが多いといわれています。そのため、夜間の血圧の状況をある程度推測できるよう、朝の血圧測定というのも重要になるのです。
血圧の正しい計り方についてですが、お孫さんにいただいた大切な血圧計ですから、やはりそれは大切に使っていただきたいのですが、人によっては手首で測る血圧計では誤差が生じることもあります。そういう人の場合には、二の腕の部分で測定するタイプのものをおすすめします。また、血圧を測る前後は、少し呼吸を落ち着かせて、2~3回ほど計った平均値を使うようにすると、より正確に数値を見られます。
血圧が高めな場合、降圧目標のガイドラインが設定されています。たとえば高齢者ですと、さきほどの白衣高血圧のことも加味し、診察室での血圧は上が140、下が90未満、家での血圧は135の85未満を目指そうということになっています。
血圧を低めに保つコツにつきましては、これは結局、高血圧の方に対する治療と同じことになります。あなたの場合、高い時には160の90あるとのことで、若干高めのため、まずは生活習慣の改善を試みてください。たとえば食事ですと、野菜類をよく採り、塩分は1日6g未満というのを目安に減塩をしてみてください。また、もし肥満気味でしたら改善を目指しましょう。血圧が高い人の場合は、激しい運動は控えた方がよいため、ウォーキングがおすすめです。一日30分以上歩くことを目標としてください。
このように生活習慣の改善をしてみて、それでも平均値で140の90以上ある場合には、薬を飲んで下げていただくということも必要になります。そのような場合、まずは外来を受診していただくのですが、その際にご自宅で計られた血圧の記録を持参していただくと、医師も非常に判断がしやすいと思います。先ほどお話したように、医師の前では余計に高くなりやすい人もいらっしゃいますので、家での血圧の記録は治療を進める上で大変参考になるものです。そのためにも、ぜひ正しい方法で、これからも測定を続けていって欲しいと思います。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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