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2020年01月27日

排便時にポタポタと赤い血が…大腸がんが心配!

痔なのか、それとも大腸がんなのか

68歳の男性です。排便をする際の出血について教えてください。

たまになのですが、トイレで排便をした際、肛門から真っ赤な血がポタポタとたれることがあります。

出血はいつの間にか止まりますし、たまにの事なので気にしないでいると、友人に大腸がんではないかと指摘されました。その友人も早期の大腸がんで手術をしたことがあり、やはり血便が出たと言っていました。

痛みは全くなく、肛門周辺にも何も異常はないようです。やはり私も大腸がんの可能性があるのでしょうか。

答え

痔の可能性が高いが、まずは内視鏡の検査を!

今回は排便時の出血についてのご質問です。

ご友人からの指摘で大腸がんを心配されているということですが、このような排便時の出血の場合、一番多いのは皆様よくご存知の痔です。

痔にもイボ痔、切れ痔など色々ありますが、それら様々な痔で、排便時に出血が見られます。そのため今回のようなケースでは、まずは痔ではないかと疑いますが、一方でご友人の状況と同じように、大腸がんが潜んでおり出血をするということも当然ございます。

実は、大腸というものはかなり長いものです。腹部の右下、盲腸の辺りから始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸とグルッと回り、それからS状結腸、直腸、そして肛門に続くわけです。大腸がんはこれらのうち、色々な所から起こるのですが、もし盲腸に近い奥の方から出血した場合には、血液は大腸の中を、ゆっくりと時間をかけて巡って出てきますので、色はどす黒く、凝固したり、あるいは便と混ざっている場合もあります。

あなたのように、はっきりとした赤い鮮血の場合には、比較的肛門に近い所に、がんや痔があることが考えられます。どちらにしても、大腸がんか痔かは、正確に判断できませんので、やはり一度、大腸内視鏡の検査を受けられることをおすすめいたします。

今回は排便時の出血というご相談でしたが、便に血が混ざっているかどうかを調べる検査として、便潜血反応という検査がございます。これは、一般的に大腸がん検診として行われているため、定期的に実施されている方もいらっしゃると思います。この方法は安全かつ安価に、大腸がんの可能性がある人をスクリーニングする事ができ、適切な二次検査が行われた場合には大腸がんの死亡率を下げることが証明されています。従って、たとえ今回のご相談者のように排便時の出血などがなくても、定期的に検診を受けていただきたいと思います。しかしながら、便潜血検査で陽性の方でも、実際には大腸がんが見つかる確率は約3~5%ほどですので、検査が陽性であっても過度に心配せずきちんと内視鏡検査をお受けください。

一方、便潜血反応検査ですべての大腸がん患者さんを拾い上げることは出来ません。実際に大腸がんの患者さんであっても、便潜血が陰性になる方が、進行がんで5~10%、早期がんで40~60%くらいいらっしゃるという報告もあります。ですから、出血もなく、検診の結果も陰性だった方でも安心はせずに、とくに50歳を越えられた方の場合は、数年に一回、大腸内視鏡検査を受診して、がんや大腸ポリープの有無のチェックをしておくと良いでしょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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